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後編は巻き舌のやり方を全公開〜この1記事で全部わかる
「札幌ラーメンとろろ芋」
こんにちは。テノール歌手・ボイストレーナーの岩井翔平です。このブログでは、歌や音楽に関する情報を発信しています。
さて、冒頭の言葉は、巻き舌ができない人が練習する呪文のひとつです。
今回の記事作成にあたって、
元・巻き舌できなかった声楽家11人からの取材、20本の記事、20本の動画も参考にさせていただきました。
調べていくと、これらに載っている練習方法は、いくつかのグループに分類してまとめることが出来る!ということに気づきました。
今回は、世の中に広がっている巻き舌練習法をグループにまとめ、全ての練習法を網羅する記事を作りました。
この1記事を読めば、あとは練習あるのみ!もうこれ以上調べる必要はありません。
※今回の記事は前後編ある記事の【後編】です。前編をまだお読みでないからはこちら↓
私は、島根大学教育学部と東京芸術大学で、2度大学生をしました。そのため、教えるスキルと歌の専門性を両方兼ね備えています。
もしこの記事が面白いと思ったら、コンサートや体験レッスンをぜひご検討ください(オンラインレッスンも承っています)
【※注意】ネットでの情報収集&独学での練習は、あくまで自己責任で参考程度になります。
万が一痛いなどトラブルがある場合、中断してください。
自分がやっていることができているか否かのチェックを希望される方は、ぜひ個人レッスンへのお申込みをご検討ください。
巻き舌練習で抑えておきたい5つのポイント
やり方に入る前に、練習する際のポイントを確認しましょう。
- 中長期戦を覚悟しよう
- 「ながら練習」がオススメ
- 巻き舌は、あくまで子音の一種。滑舌トレーニングだと思う
- 巻き舌は、舌の力ではなく、息の力で勝手に振動する
- 滑舌はスポーツ!諦めずに反復しよう
それでは、ひとつずつ見ていきましょう
1.中長期戦を覚悟しよう
11人の巻き舌克服した声楽家の取材によると、数週間でできるようになった人から、5年かかったという人もいました。ネット等の情報でも数週間〜数ヶ月という記事も見かけました。
中には、歌詞の中で一瞬巻くことはできるけど、何秒も巻き舌を伸ばすことはできない声楽家もいました。(曲の中で発音できているので、演奏に支障はないようです)
誰でも簡単に出来るようになりたいと思っていると、挫折してしまいます。
中長期戦であると、初めから覚悟しておきましょう。
これらをまとめると、
2.「ながら練習」がオススメ
「絶対、巻き舌できるようになるぞ!!!」
ここまで読んで、そう意気込んでいる方もいるかも知れません。
しかし、意気込みすぎて肩に力が入っていると、余計全身に力が入り、上手くいきません。
巻き舌が出来るようになるプロセスは「ひらめき」に近いです。
よく、作曲家や小説家が、ふと歩いている時や、トイレやお風呂でネタを思いつくと言いますよね。注意散漫で、リラックスしているときの方が、得られるメリットがあります。
巻き舌も同様に、家事など、他のことをしながら練習するのをオススメします。
「ながら練習」するメリットは3つあります。
- リラックスしやすく、副交感神経が優位になる。すると、「ひらめき」が起きやすい
- 舌もリラックスし、巻き舌が成功しやすい(※詳細は前編で説明しています)。
- 習慣化しやすい。心理学では「新しい習慣を身につけるとき、既に習慣になっているものと組み合わせた方が成功率が高い」と言われています。
取材させていただいた声楽家のメンバーの中には
- お風呂でシャワーを顔に浴びながらやったら成功した
- 自転車で坂を駆け下りながらやったら成功した
- 通学中歩きながら練習したらできた
という事例を既に聞いています。ぜひあなたもやってみましょう。
3.【重要】巻き舌は、あくまで「子音」。滑舌トレーニングだと思う
「巻き舌とは、子音の一種である」と、前編でお話ししました。
もし、日本語でも苦手な子音があれば、必死に、滑舌トレーニングや、早口言葉をしますよね?
同様に巻き舌も、滑舌トレーニングや、早口言葉をすればいいのです。
巻き舌に一番近いのはラ行です。だからラ行をメインに練習することになります(詳細は後ほど)
4.巻き舌は、舌の力ではなく、息の力で勝手に振動する
前項で、巻き舌はラ行が一番近いと説明しましたが、ラ行と巻き舌には決定的な違いがあります。
ラ行を高速で言うときは、舌自身の運動によって舌を高速に動かしています。それに対して、巻き舌で起きる振動は舌の力ではなく、息の力で起きるという点です。(前編で詳細を説明しています)
つまり、ラ行の練習をしてもいるとき、ふと、舌の運動では不可能なスピードで、舌が勝手に振動する瞬間を見つけなければなりません。
5.滑舌はスポーツ!ひたすら反復しよう
アナウンサーの方とお話ししたとき、意外だったことがあります。
私は、「プロしか知らない特別な滑舌トレーニングが、きっとたくさんある」と思っていました。
しかし、実際は、プロたちも一般的に知られている滑舌トレーニングをひたすらやっている印象です(現在の私の見解です。アナウンサーで、そんなことない!等々あればメッセージお待ちしています。)
そう、滑舌に関しては、特別なノウハウよりも、とにかく反復が一番です。
「話す」ということは、日常で行っていることなので、なんとなく出来ているつもりになりやすいものです。しかし、歯磨きを毎日していても、歯垢が残ったり虫歯することがあるように、だから万全とは言い切れません。
滑舌はスポーツだと考えてください。
もし、プロ野球選手が1週間ボールを投げなければ、コントロールは鈍り、疲れやすくなるでしょう。
まずはどんどん練習してみましょう。
○以下の動画を見てみてください。今音が出せない方は無音でもオッケーです。
日本語ではありませんが、会話しているときの口の中の動きです。非常に早く舌や唇を変化させて発語していることが見て分かります。
一見、複雑そうに見えますが、そんなに難しくはないいくつかの要素がたくさん組み合わさっているだけです。
ひとつずつ丁寧に練習していきましょう。
巻き舌練習法を集めたら、大きく3タイプの練習に分けられた!
1.舌をほぐすトレーニング
ボイストレーナーとして、たくさんの方にレッスンをして気づいたことがあります。
それは…
舌を思い通りに動かせない、舌の動きが硬い人が本当に多い!!
今回は、この部分については詳しく触れず、また別のブログで詳細を書きます。
簡単に説明すると
- 舌を歯と唇の間に入れて、時計回りに回す、出来たら反対まわし
- 舌を平らに出したりしまったりする
- 口を開いて舌を高速に左右に動かす
こういったトレーニングで、まず舌を動かしていくことが、必要になります。
2.「ら行+α」の滑舌トレーニング【最重要】
先ほど、巻き舌に一番近い子音の「ら行」をメインで練習すると説明しました。
今回、巻き舌練習法を調査したところ、「ら行」の前に違う子音を組み合わせた練習法が山ほどあることに気が付きました。
軽く紹介すると【た行/だ行、は行/ば行/ぱ行】これらが追加されています。それでは、ひとつずつ解説していきます。
(1)「ら行のみ」の練習
① 「らりるれろ りるれろら るれろらり れろらりる ろらりるれ」の練習
解説・・・らりるれろ、のスタート地点がひとつずつズレています。
② 「あらおろ」「あらあら」「あらららら・・・」をひたすら繰り返す。
この辺りは自分でアレンジして「ありおり」など他のら行を作ってもいいですね。
③「ら行」から任意の2つの言葉を選び、ひらすら繰り返す。
例、レロレロレロ・・・、リラリラリラ・・・、ラロラロラロ・・・
④〈番外編〉「りゃ行」で①〜③を練習してみる
「りゃ行」はローマ字で「Rya」。「ら行+や行」と説明できるでしょう。よってこれも「ら行」グループに入れました。こっちの方が難易度高いです
やってみると意外と難しいです。巻き舌が出来ない人は、そもそも「ら行」が言えていない傾向にあります。
(2)「た行/だ行+ら行」の練習(T/Dの子音+R)
「た行」「だ行」を加えるメリット・・「ら行」を発音する舌の位置に非常に近く、巻き舌を誘発しやすいため
① 「たらたら」「だらだら」をひたすら繰り返す
② 「たらたりたるたれたろ」「だらだりだるだれだろ」をひたすら繰り返す
解説・・・「らりるれろ」の間に「た」や「だ」を差し込んでいます。
③ 「ただなら」を繰り返す(た行・だ行両方組み合わせ)
④ 「トラ」を繰り返す
⑤「trentatre」を繰り返す。
解説・・・イタリア語で「33」という意味。無理矢理カタカナにすると「トゥレンタトゥレ」と読みます。
イタリア人は巻き舌をこれで練習するんだとか。「trenta(30)+tre(3)」で33という数字になる。
声楽をやっている人には母音を介さずに「T→R」に移行する練習になるのでオススメ
⑥「トゥラ トゥリ トゥル トゥレ トゥロ」をひたすら繰り返す。
やや難しめの解説(読み飛ばしオッケー)・・・「トゥ」って「た行」じゃないじゃん!!って思われるかもしれません。しかし、発音に関する学問の上では、「トゥ」は本来の正しい「た行」です。「つ」がむしろ「た行」ではないのです。
「つ」は本来「ツァ行」になります(長くなるのでここまでにしますが、日本語の五十音順は、結構デタラメだと知っておきましょう)
(3)「は行/ば行/ぱ行+ら行」の練習(H/B/Pの子音+R)
これらを加えるメリット・・・巻き舌には慣れるまで息の勢いが必要。これらを加えると、その勢いが作りやすく、巻き舌を誘発しやすい。
①「はるはるはるはる・・・」「はらららら・・・・」を繰り返す
後に説明しますが、日本一有名な巻き舌練習の呪文「札幌ラーメンとろろ芋」も「札幌」の部分が「ぽろ」と「ぱ行+ら行」になっています。
他にも自分で作ってみてもいいかもしれませんね。
3.巻き舌に効果のある早口言葉
① 「札幌ラーメンとろろ芋」
超有名フレーズで、11人の巻き舌克服した声楽家からも、圧倒的に多かったです。以下の点でも理にかなったフレーズです。
- 「札幌ラーメン」の「ぽろら」と続いている部分が「ぱ行+ら行」になっている
- 「とろろ」が「た行+ら行」になっている
② 童謡《ぶんぶんぶん》の曲の歌詞に全部「ら行」を混ぜる
ぶんぶんぶん はちがとぶ
おいけのまわりに
のばらがさいたよ
ぶんぶんぶん はちがとぶ
この曲のメロディーに乗せて、全部「ら行」を加えます。なので
ぶるんぶるんぶるん はらちりがらとろぶる
おろいりけれのろまらわらりりにり
のろばらららがらさらいりたらよろ
ぶるんぶるんぶるん はらちりがらとろぶる
となります。前の言葉の母音が「あいうえお」のどれなのかによって、付け足す「ら行」の言葉を対応させています。
例「おいけ」
- 「お」の母音は「お」だから「ろ」を加える
- 「い」の母音は「い」だから「り」を加える
- 「け」の母音は「え」だから「れ」を加える
これを応用して、「あなたの好きな曲に『ら行』を混ぜてみましょう」というボイストレーナーもいました。結構ムズくね?w
③その他の早口言葉
「カレーライス」をひたすら繰り返す、「コロちゃん」をひたすら繰り返すというものもありました。
練習する体制を変えるとできるかも
練習するとき、体制を変えるとできるよ!というアドバイスもありました。
1.上をむいて練習する
「上を向くと重力で舌が勝手に上顎につくのでやりやすい」という意見がありました。これは個人差があることなので、全員そうとは言えません。しかし、試して見る価値がありますね。
巻き舌を克服した声楽家の中に「椅子に座って上を向いたらできた」という人もいました。
2.鼻をつまんで練習する
「気づかないうちに鼻から息が抜けて息のエネルギー不足になっているかも」という理屈だそうです。これは私も鼻つまむとより口だけから息を吐いている気がします。
3.少量の水を口に含む
巻き舌を克服した声楽家の中に「お風呂でシャワーを浴びながらやったら成功した」という人がいました。
その人いわく、「少し水が口の中にある感じがして、うがいするように巻き舌をしたらできた」とのこと。うがいの感覚が巻き舌獲得を助けてくれるかも?
まとめ
ここまでまとめてて思ったことは「特別な練習法を期待しない」ことが一番大事だということです。
「本当は特別な練習法があるのに、知らずに地味な練習をしていては、遠回りなんじゃないか?」という不安からくるものだと考えられます。
しかし、その遠回りは全然間違いではありません。
ここに掲載した練習法を全てやる必要もありません。好きなやつを使ってとにかく反復!反復!反復!です。
どんなに出来なくても、5年かかった声楽家もいます。諦めずに頑張りましょう!
岩井翔平ボイストレーニングサロンでは、現在生徒募集中で、体験レッスンを実施しています。初心者の方からプロ志望の方まで、幅広くレッスンに通っています。
よく「ボイトレはプロを目指す人が通うイメージ」と言われます。
しかし、ジムにはボディービルダーだけでなく、一般の方も多く通っているように、ボイトレも気軽に通う場所であって欲しいと願っています。
声は、磨けば一生使えるもの。外見と同じくらい、相手からの印象に関わります。外見に気を遣っている人は多いですが、声に気を遣っている人はまだ少ないです。だから声を磨くだけで、一歩リードすることが出来ます。
初めはとても緊張すると思いますが、優しく丁寧にレッスンします。お問い合わせは下記のLINEか、お問い合わせからどうぞ!
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