いつもと違うテイスト?話題作の歌詞考察
アイキャッチ画像の出典:https://crybaby.ponycanyon.co.jp/
今回は、Official髭男dismの「Cry Baby」の歌詞考察です。
こんにちは。東京を中心に活動するテノール歌手・ボイストレーナーの岩井翔平です。実は、島根大学在学時、ボーカルの藤原さんと同い年の同級生だったことが発覚した、ひとりの髭男ファンです。
歌手として、深く歌詞と向き合った経験から、他の記事以上に深い考察を目指して記事を書いています。
歌詞の考察の前に、この曲の前知識の3つ紹介します
- アニメ「東京リベンジャーズ」のOP主題歌
- 曲のタイトルは、第73話からの引用
- 今までと違う髭男のテイストだが、本来の顔かも
それでは、ひとつずつ見ていきましょう(1箇所漫画の1ページを引用しています。ネタバレは最低限にとどめています。)
1.アニメ「東京リベンジャーズ」のOP主題歌
漫画が原作のアニメ「東京リベンジャーズ」の主題歌です。
上の動画は実際アニメで使われているOP版のCry Babyです。
リベンジャーズとは、「リベンジをする人」という意味です。
この記事を書く上で、私は漫画の単行本全巻呼んで、アニメ全話観ています。
どんな話のアニメかと言うと
- 主人公「花垣武道(はながき たけみち)」が中学時代の元彼女「橘日向(たちばな ひなた)」を助けるため奮闘する話
- ある日、ヒロインの日向が犯罪組織「東京卍會(とうきょうまんじかい)」に殺される。その運命を変えるために、12年前に何度もタイムスリップし、当時の東京卍會に入団し、奮闘する
- 武道は「泣き虫のヒーロー」と呼ばれるほど喧嘩も弱く、現代ではバイトの年下の先輩に怒られる日々を送っていた
こんな感じです。今回の曲は、歌詞だけを眺めるのではなく、アニメの話が分かれば歌詞が分かる曲になっています。正直、これがほとんどです。
私もこの曲の歌詞の意味を知るために「東京リベンジャーズ」を見始めました。
2.曲のタイトルは、第73話の引用
実は、この曲のタイトルと同じタイトルの回があります。それが、9巻の第73話です。
出典:「東京卍リベンジャーズ」9巻 第73話 和久井健
左下に「A crybaby」と書いてありますね。これは「泣き虫」という意味だそうです。これは、武道が「泣き虫のヒーロー」と呼ばれていることから、これは武道のことでしょう。
この回は、タケミっち(花垣武道のあだ名、以降タケミっちと表記)にとって衝撃的なことが起きます。
この画像に出てくる、「千冬」は、タケミっちのことを「相棒」と呼ぶほど、キーパーソンです。
ひょっとしたら、この第73話と千冬は髭男の「Cry Baby」の歌詞にも深く関係があるかも知れません。
3.今までの髭男と違うテイストだが、本来の顔かも
髭男といえば、「ピアノポップバンド」という名称もあるように、ロックを全面に出した曲は少ないです。
しかし、今回の曲はかなりハードなロックテイストです。
PVでは、ボーカルの藤原さんがヘドハンしたり、ギターの小笹さんがイメチェンしたヘアスタイルを披露しています。
これに対して
「いつもの髭男と違う!こんな曲もできるのすごい!!」という声が多く集まりました。
しかし、実はボーカルの藤原さんは、学生時代ヘビメタにハマった過去があるそうです。
だから、今回の主題歌のオファーで、突然そういうテイストの曲を研究したというよりかは、元々ハードロック系の音楽にも精通していたことが伺えます。
学生時代に好きだった音楽というのは、その人の音楽の価値観に大きく関わるので、実は本来の髭男なのかも知れませんね
「Cry Baby」の歌詞の意味・解釈をオペラ歌手が徹底考察
1番Aメロ
胸ぐらを掴まれて 強烈なパンチを食らってよろけて
肩を並べうずくまった
予報通りの雨にお前はにやけて
「傷口が綺麗になる」なんて嘘をつく
出典:Cry Baby/作詞・作曲 藤原聡
この物語では、ヒロインを助けるために主人公が12年前にタイムスリップしては、不良たちにボコボコにされます。
この主人公タケミっちは、とにかく喧嘩が弱いです。
喧嘩だけでなく、意思も弱いです。漫画の1巻では、ずっと嫌なことから逃げ続けて大人になっています。
しかし、ヒロインを助けるため、という強い使命感をもち、弱い心を必死に奮い立たせます。
この「主人公が喧嘩もメンタルもめっちゃ弱いのに、使命感をもって必死に弱い自分と向き合い、どんな強敵にも諦めない、逃げない姿勢を見せる」のが、アニメでも、この曲の歌詞でもかなり重要な要素になってきます。
ここで出てくる「にやけて『傷口が綺麗になる』なんて嘘をつく」と嘘をつき、誰かから「お前」と呼ばれる人物は主人公のタケミっちである可能性が高いです。
1番Bメロ
いつも口喧嘩さえうまく出来ないくせして
冴えない冗談言うなよ
あまりのつまらなさに目が潤んだ
出典:Cry Baby/作詞・作曲 藤原聡
「いつも口喧嘩さえ上手く出来ないのに、冴えない冗談を言っている」のも、やはり武道でしょう。
そうなると、「あまりのつまらなさに目が潤んでいる」のは一体誰なんでしょう??
これが実は特定できないのです。
他の考察サイトも拝見すると、「この漫画の読者」じゃないか?とか「この漫画を読んだ藤原さん自身」じゃないか?という意見が多いようです。
しかし、私はそうは思いません。理由はサビの部分にありますので、サビで解説します。
「あまりのつまらなさに目が潤んだ」この歌詞が魅力的な理由
ここ素敵ですよね。それは「つまらない」「目が潤む(=感動する)」というのが、反対の言葉だからです。
もしここの部分が「あまりの一生懸命さに、目が潤んだ」という歌詞だったらどうでしょう?
文法的にも状況にも合っていますが、なんかめっちゃ普通ですよね???
こういった部分部分に、藤原さんの光る作詞センスが見えますね。
1番サビ
何度も青アザだらけで涙を 流して 流して
不安定な心を肩に預け合いながら 腐り切ったバッドエンドに抗う
なぜだろう 喜びよりも心地よい痛み ずっしりと響いて
濡れた服に舌打ちしながら 腫れ上がった顔を見合って笑う
土砂降りの夜に 誓ったリベンジ
出典:Cry Baby/作詞・作曲 藤原聡
タケミっちと一緒に喧嘩してない??
この歌詞の中で「不安定な心を肩に預け合いながら」「腫れ上がった顔を見合って笑う」と出てきます。
「〜し合う」という表現が出てきています。この部分から推測するに、この人物はタケミっちと一緒に不良と喧嘩していると考えるのが自然です。
となると、前述の「漫画の読者」や「ボーカルの藤原さん」説は矛盾しませんか?
いくら物語の世界に入り込むくらい面白い漫画だとしても、流石に読者の顔まで腫れ上がりますかね??
この歌詞のもうひとりの人物は「○○」なんじゃ?(※ネタバレあり)
ここで重要になってくるのが、曲名「Cry Baby」が、第73話であり、ここでタケミっちと千冬にとって大きなことが起きる回だということです。
そして、以下ネタバレですが(見たくない人注意)
この第73話の後、タケミっちは「自分は12年後からタイムスリップしてきた」ことを千冬だけに告白し、より絆が深まります。
こういったことから、私はこの歌詞のもうひとりの人物は千冬説を唱えます!!
そして、1番はAメロから基本的に千冬目線と考えています。
2番Aメロ
胸ぐらを掴み返して 反撃のパンチを繰り出すくらいじゃなきゃ
お前の隣には立てないから
相手が何であれ日和らない 何度伸されても諦めない
忘れるな忘れるなと言い聞かせ続けたのに
出典:Cry Baby/作詞・作曲 藤原聡
2番になって、千冬目線から、タケミっち目線に変わります。
全然不良にも向いていない、喧嘩も強くないタケミっちが必死にヒロインを助けるため、反撃のパンチを繰り出そうとしています(漫画でもそういう場面がたくさん出てきます。)
「忘れるな忘れるなと言い聞かせ続けたのに」の部分ですが、このあと「どうして」という歌詞に続いて長めの間奏が入ります。
実際に、ヒロイン日向を助けると心に誓ったのに、目の前の不良が怖くて、怯えていたらボコボコにされるシーンがあります。
元からメンタルが鬼のように強いルフィのような主人公ではなく、普通の少年が勇気をなんとか振り絞る話なので、それに負けてしまう場面や、葛藤も描かれています。
2番Cメロ
傘はいらないから言葉を一つくれないか
微温い優しさではなく
弱音に侵された胸の奥を抉る様な言葉を
出典:Cry Baby/作詞・作曲 藤原聡
ここの部分はサビで出てくる「喜びよりも心地よい痛み」とセットで考えるといいです。
1巻の最初のタケミっちは、クズそのものです。
そんな、楽な方を選んでしまうものの象徴として、「傘」や「生温い優しさ」や「喜び」という表現が登場します。
タケミっちは、本当はものすごく楽な方に進みたいはず。だって、その生き方が染み付いているから。
でも、それでは未来を変え、ヒロイン日向を助けることができない。
だから、自分の染み付いた楽な生き方に必死に抵抗して、それでも彼女を助ける!という、タケミっちの強い意思を感じる部分だと考えています。
2番サビ
何度も青アザだらけで涙を 流して 流して
不安定な心を肩に預け合いながら 腐り切ったバッドエンドに抗う
なぜだろう 喜びよりも心地よい痛み ずっしりと響いて
濡れた服に舌打ちしながら 腫れ上がった顔を見合って笑う
土砂降りの夜に 囚われの日々に 問いかけるように
光った瞳の中で 誓ったリベンジ
出典:Cry Baby/作詞・作曲 藤原聡
今回のサビでは「囚われの日々に 問いかけるように 光った瞳の中で」という言葉が足されています。
ここで光った瞳という部分に着目しましょう。
よく、漫画で何者かに操られたキャラクターや、人間らしい意思のないキャラクターを描く時、目の中に光を書かない、という手法を取りますよね。
そこから考えるに、瞳の中に映り込む光とは、意思の象徴であると考えられます。
だから、ここではタケミっちが最後に、よりヒロインを助ける意思を輝かせていることになります。
ライブ映像がかっこいい!
どうしてもバラード調の曲が増えすぎると、ライブでは映えなかったりするもの。
ここでこの曲がひとつ入ることで、ライブはめちゃくちゃ盛り上がりそうですね〜
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