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アイキャッチ画像の出典:https://editorial.ponycanyon.co.jp/
「髭男」を知るために、一番重要な曲かも知れない
2019年、「Pretender」の大ヒットがきっかけで一躍日本のトップバンドへ躍進したOfficial髭男dism。
なぜ、その後もヒット曲を生み続けるのか?
なぜ、彼らの音楽は多くを惹きつけるのか?
もちろん、そんなものを分析したところで、後付けにしかならないかも知れない。
だけど、この曲に、そのヒントが隠れている気がします。
こんにちは。テノール歌手でボイストレーナーの岩井翔平です。
後で分かったことですが、私はボーカルの藤原さんと同い年で、島根大学で同級生だったそうです。しかも、音楽で上京することを夢見ながら島根で過ごす経験が全く同じで、大活躍している彼から、いつも勇気をもらっています。
つまり、ただのひとりのファンです。
そんな私が、仕事上歌詞をより深く考え歌ってきた経験を活かして、他の歌詞考察サイトよりも質の高い歌詞考察を目指して、記事を書いています。
Editorialってどんな曲?
2021年8月18日に発売されたアルバム「Editorial」の1曲目の曲で、アルバム名と同じ曲名です。
演奏時間が2分15秒ととても短い曲で、よくアルバムの一曲目にオープニングのような短い曲が入ることがあります。
英単語Editorialの意味
形容詞で「①編集者の ②社説の、論説の」
名詞で「①社説 ②論評」
ここで「compose(作曲する)」や「create(創造する)」といった単語を使わなかったところが面白いですね。
また、もし形容詞の場合、あとに続く言葉が必ずあります。「編集者の〜」のあとに続く言葉がなんなのか考えるのも面白いでしょう。
歌詞の中を探すだけでも「気持ち」「矛盾」「足跡」「思い」などが候補になりそうですね。
ひょっとしたら、歌詞の中には答えがないかも知れませんね。
声の多重録音
この曲は、楽器演奏のない、声だけを多重録音した演奏になっています。
これは、浮かんだ言葉やメロディーが、藤原さんの頭の中でたくさん鳴っている様子を表現しているのではないでしょうか?
そう考えると、それを編集していることを「Editorial」と呼んでいる可能性もありますね。
【Editorial/Official髭男dism】歌詞の意味・解釈をオペラ歌手が徹底考察
伝えたい だけど語れない
ずっとこの気持ちの正体を
僕は探してる
だけどよそ見ばっかしている
そっちのほうが幸せだから
出典:Editorial/作詞・作曲 藤原聡
「ai」で韻を踏んだ心地よい言葉のリズム
冒頭の「伝えたい だけど語れない」の、伝え「たい」と、語れ「ない」の部分に着目しましょう。
ここの部分をローマ字にすると「tai」「nai」となりますね。
更に、頭の子音を取るとどちらも「ai」になるのが分かりますか?
このように、この曲では、ずっと「ai」の音が韻を踏み続け、一定のリズムの心地よさを生んでいます。
よそ見ばっかしてしまうのはなぜ?
伝えたい気持ちの正体を探しているのに、なぜよそ見をするのでしょう?
その答えは「そっちの方が幸せだから」とあります。しかし、なぜ、よそ見をした方が幸せなのでしょう?
私は主に2つ理由があると考えています。
1つ目に、単純にその方が良い歌詞や曲が作れるからということ。
必死に机に向き合ったときにはアイディアが浮かばないのに、トイレでぼーっとしているときに思いつくなどです。
実際、藤原さんもいい歌詞が思いつかなかった日にインスタライブをやったりしています。
つまり、「そっちの方がいい歌詞や曲が書けて幸せだから」ということです。
2つ目に、伝えたい気持ちの正体を、本当に知って、探すことを止めたいわけではないということです。ちょっと言い方が難しいですね。
言い換えると、伝えたい気持ちの正体をずっと探し続けていたいのだと思います。
きっと藤原さんは、いい歌詞と音楽を作るために苦しんでいること自体に喜びを感じているのではないでしょうか?
この苦しい状況を楽しんでいるというのが、藤原さんの曲作りのテーマにあることが、この曲にとても現れています。
つまり「そっち(=伝えたい気持ちが見つからないで探し続けること)の方が幸せだから」という意味です。
飾らない だけど嘘くさい
ずっとこの矛盾の正体が心を塞いでる
だけど不自由さえ楽しんでる
そっちのほうが愛おしいから
出典:Editorial/作詞・作曲 藤原聡
「飾らない だけど嘘くさい」とは?
そもそも、本当に飾らずに自分の思いを伝えれている人は「飾らないでいよう」とすら思いません。飾らない言葉を書こう!と意識している時点で、どこかに嘘があるのです
例えば、レディーファーストを本当にさりげなくできる男性は、「さりげなくしよう」とすらきっと思っていないでしょう。
しかし、恋愛のノウハウを勉強しました!みたいな男性が心の中で「さりげなさが大事!!!」って思えば思うほど、女性には不自然に陥るでしょう。
これって、藤原さんだけそうなのではなく、大人は皆そうなんじゃないでしょうか?
ましてや髭男は、タイアップで曲を書いたり主題歌を担当することもあります。
これだけ有名なバンドになれば、周りの反応は絶対気になるはず。
そんな不自由も楽しみ、もがき苦しむ。そうして出来た曲をたくさんに聴いてもらう、そんな日々がきっと愛しいのでしょう。
疲れが染み込んだ靴下 スニーカー
そんな足跡もちゃんと残っている
出典:Editorial/作詞・作曲 藤原聡
これは藤原さんがaikoさんと対談している動画で本人が仰っていたのですが、思いついたメロディーはボイスメモに吹き込んでいるそうです。
きっと歌詞も、たくさんメモやノートに残したりしているでしょう。そんな風に色んなところに思考が散歩して、歩いた跡を「足跡」として、語っているのでしょう。
私も、まだ数記事しか記事を書いていませんが、すでにああでもない、こうでもないと書き直した文章たちが愛しいと感じることがあります。
伝えたい だけど語れない
そんなこの気持ちの後先を
ここにだけ書き記す
だけど上手く書けず喜んでる
そっちの方が幸せだから
出典:Editorial/作詞・作曲 藤原聡
この曲にだけ書き記された、ヒット曲を生み出すプロセスの想い
冒頭に書いたように、この曲は髭男というバンドを知る上で一番重要な曲かも知れない、と私は考えています。
ここで「ここにだけ書き記す」とあるように曲の中に曲作りの想いを書いたのは初めてだということです。
そして、前の部分でも書いているように、「上手く書けず喜ぶ」これが、この曲の一番のテーマだと感じます。
今の世の中、「楽しむこと」と「楽すること」が、混同されています。楽することが楽しいことだ、と皆考えがちです。
しかし、甲子園で優勝するような野球の楽しさは、決して楽して得られないでしょう。
このように、一見周りから見たら苦しいようなことを楽しんでいる、それが藤原さんであり、髭男なんじゃないでしょうか?
そして、この姿勢こそが、どんなタイアップでもクオリティーを落とさず、いい曲を生み出している理由な気がします。
朝日が来るように至極当然なことにも
溢れている 隠れている
思いを形にしたんだ
あなたにも受け取ってほしくて
出典:Editorial/作詞・作曲 藤原聡
ここの朝日が〜の部分が美していつも泣いてしまいます・・。
ここでも「溢れている」と「隠れている」という、一見反対に思われる言葉を並べて使われています。
ここでの「朝日」は、日常にありながら軽視されている美しさの象徴だと考えます。
みなさん、毎年元旦の初日の出で、その美しさに感動します。
しかし、実は日の出は毎日本当はやって来ています。なのに、多くの人はその時間にはまだ寝ていて、日の出を見ることもありません。ありがたみなんて普段は感じません。
そして、朝日は1日の始まりの象徴でもあります。しかし
- 「今日会社めんどくせぇ」
- 「朝起きたくない・・」
Twitterでもそんな言葉が毎日流れています。
しかし、有名な言葉ですが、その1日は「誰かにとっては生きたいと願った明日」だったりします。
そういう思いが「朝日」というひとつに集約されているのではないでしょうか?
2分15秒なのに、すごく濃くて、思いの詰まった一曲。ブログも長くなる・・
岩井翔平ボイストレーニングサロンでは、現在生徒募集中で、体験レッスンを実施しています。初心者の方からプロ志望の方まで、幅広くレッスンに通っています。
よく「ボイトレはプロを目指す人が通うイメージ」と言われます。
しかし、ジムにはボディービルダーだけでなく、一般の方も多く通っているように、ボイトレも気軽に通う場所であって欲しいと願っています。
声は、磨けば一生使えるもの。外見と同じくらい、相手からの印象に関わります。外見に気を遣っている人は多いですが、声に気を遣っている人はまだ少ないです。だから声を磨くだけで、一歩リードすることが出来ます。
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