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こんにちは、テノール歌手・ボイストレーナーの岩井翔平です。
現在、オペレッタ《こうもり》の公演のため、京都に滞在しています。
どんな作品かちょっと知っている方は
「なんか、楽しそうに歌って踊ってるんでしょ?」
「こんな戦争やコロナの時にそんな能天気なオペレッタ見る気分じゃないわ」
という方、ちょっと待ってください!
このオペレッタの裏の意外な時代背景を知ると、むしろ今だからこそ見てみたくなると思います。
喜歌劇こと、オペレッタの裏に隠された背景
「オペレッタの王様」の異名を持つ代表作
ヨハン・シュトラウス2世が作曲したオペレッタ《こうもり》は、「オペレッタの王様」と呼ばれることがあります。
それほどオペレッタを代表する作品です。
簡単に説明すると、セリフや踊りもある、喜劇のオペラのことをオペレッタと言います。
《こうもり》を全て鑑賞したことある人は少ないと思いますが、断片的に曲を聴いたことがある方は多いはず。
ワルツ王が作った、豪華でみんなが大騒ぎする喜劇
あらすじは、かなりザックリいうと、
お金持ちたちがパーティーで踊り、酒を飲み大騒ぎしながら、1人の男にドッキリを仕掛けるというお話です。
しかも、ヨハン・シュトラウス2世は「ワルツ王」とも呼ばれており、
それゆえ、とても優雅なワルツの音楽に、本格的なダンスシーンもあり、豪華な舞台が特徴です。
実は不安に満ちた時代に初演された作品だった
さて、ここまで記事を読んで
「さぞかし平和で浮かれた時代に作られた作品なんだろうなぁ〜」
という印象を持つ方もいらっしゃると思います。
実際、何も知らずに《こうもり》を鑑賞すると、このような感想を持つ方は多いです。
しかし、実は色々なことが重なり、多くの人が不安を感じていた時代だったようです。
本記事ではこのことについて詳しく解説していきます。
初演当時のオーストリアの4つ悲劇
画像引用:https://acros.or.jp/magazine/music11.html
初演はいつ、どこ?
《こうもり》は「ウィンナ・オペレッタ」とも呼ばれます
そのことから「ウィーンの作品」と想像がつくでしょう。
国で言うと、「オーストリア=ハンガリー帝国」と言います。今のオーストリアです。
つまり《こうもり》初演されたのは1874年のオーストリア=ハンガリー帝国のウィーンです。
この1874年のオーストリアは悲しい出来事が続いていました。
具体的には次の4つです
- 戦争
- 経済的不振
- 疫病
- 国際的イベントが盛り上がらない
まさにコロナ禍やウクライナ戦争が勃発している、2022年の世界と似ているものがあります。
①戦争
初演の8年前の1866年、オーストリアはプロイセンと戦争しています。
これを、普墺戦争、もしくはプロイセン=オーストリア戦争と言います。
オーストリアは、この戦争に7週間で完敗。
その翌年、国の弱体化の不安解消のために、本来仲がそんなに良くないハンガリーに協力を呼びかけ、
オーストリア=ハンガリー帝国という形に国がなります。
つまり、初演当時のウィーンは
「戦争に負けた」という暗い雰囲気や、国が滅ぶかも知れないという恐怖感が蔓延していた時代だったといえます。
②経済不振
オーストリアは1850年あたりから都市改造工事を行っていたそうです。
これが結構大掛かりなものだったらしく、数十年単位のプロジェクトで、都市部は相当発展したそうです。
しかし、逆にこの工事が完了してしまったことで、投資への期待感が一気に落ち、株価が暴落したそうです。
日本では、「経済が悪くなると自殺者が増える」ということが統計で証明されつつあるそうです。
それくらい経済的な不振というのは、人間の精神にこたえます。
当時のオーストリアでも、そういった不安感というのがどんよりとあったことが想像できます。
③疫病
先ほど、オーストリアの都市改造計画のことについて触れましたが、それは限られた都市部の話だそう。
逆にそれ以外では衛生的とはいえない生活をしている人が多く、コレラが流行してしまったそうです。
コロナ禍ならぬ、コレラ禍だったということです。
この病気、なんと「口と肛門から延々と排泄物が出続けて、放置すると脱水で死ぬ」というもの。
とても恐ろしいですよね。
④国際的イベントが盛り上がらない
画像引用https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3%E4%B8%87%E5%9B%BD%E5%8D%9A%E8%A6%A7%E4%BC%9A
《こうもり》初演の前年、ウィーン万博が開催されました。
これは、都市改造計画の集大成でもあり、
「これで少しは国が活気付くといいな」と期待していたそうです。
しかし、これまで述べてきたように、まさかのコレラ禍、経済不振などが起こり、思ったより盛り上がらなかったようです。
我々も東京オリンピックを楽しみにコロナ禍を乗り切ろうしていたのに、まさか緊急事態宣言で、無観客で盛り上がらなかったのは、記憶に新しいですよね
《こうもり》はウィーンでの救いだった
こういった状況下にあった中でウィーンで上演された《こうもり》は、多くの観客の救いだったのではないでしょうか?
まさに今2022年、私たちは戦争や、疫病などの大きな時代の波に対して「個人の力の無力感」をひしひしと感じているところではないでしょうか?
「コロナが落ち着いたら」という言葉が遠回しの断り文句になりつつあるくらい、2年経っても未だに自粛や、マスクをした生活を続けています。
そんな人間に出来ることは、少しの間「忘れること」「憂さ晴らし」「現実逃避」こういったことではないでしょうか?
結果的に、こうもりはこうした「救い」を当時のウィーンの人たちに与えたのではないでしょうか?
初演当時と重なる、2022年の世界
- ウクライナでの侵略戦争
- 自粛が続きすぎて痛んだ経済
- 2020年から続くコロナ禍
- 微妙な形で終わってしまった東京五輪
こういった状況は初演当時のオーストリアと重なる部分がすごく大きいのではないでしょうか?
少なくとも2019年以前の私たちには、当時のウィーンの人たちの気持ちをここまでリアルに感じることはできなかったと思います。
これを「幸運にも」という言葉を使うには、あまりにも辛い日々が続いていますが、
そんな2022年だからこそ、多くの人にこのオペレッタに触れてほしいと思っています。
時代背景を理解した上で、より深くオペレッタ《こうもり》を楽しもう
運動初心者がジムに通う感覚で、初心者から通えるボイトレ
いかがでしたか?少しでもお役に立てれたら幸いです
当サロンでは、体験レッスンを実施しています。初心者の方からプロ歌手まで、幅広くレッスンに通っています。
よく「ボイトレはプロを目指す人が通うイメージ」と言われます。
しかし、ジムにはボディービルダーだけでなく、一般の方も多く通っているように、ボイトレも気軽に通う場所であって欲しいと願っています。
外見ほど気を遣っている人が少ないからこそ、一歩リードできる
声は、磨けば一生使えるもの。外見と同じくらい、相手からの印象に関わります。
外見に気を遣っている人は多いですが、声に気を遣っている人はまだ少ないです。
だから声を磨くだけで、一歩リードすることが出来ます。
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