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知識を持って鑑賞するともっと楽しくなる!それがオペラ!
- 「ゴジラが水爆をテーマにしてると知ると、ゴジラの見方が変わる」
- 「太宰治の人間失格は、太宰の人生がモデルになっているから、彼の生涯を調べて読むと更に面白い」
こういった知識を持つと、より面白くなる!ものは、数多くあります。
実はこれ、オペラ・オペレッタも同じです。
《こうもり》は「ハプスブルク家」の知識なしには語れない?
今回も、オペレッタ《こうもり》について解説していきます。
実は、世界史で出てくる名門貴族「ハプスブルク家」から紐解いていくと、新しい見え方があります
その前に、前回の記事をまだお読みで無い方は、まずこちらをご覧ください。
今回は少し歴史の内容も多く入ってきますが、
やっぱり2022年の今こそ見るべきだ!と思える内容になっています
今更聞けない「ハプスブルグ家」とは?
一言で言うと「政略結婚という手段などでヨーロッパを中心に一時期は世界中に影響を与えた名門貴族」です。
簡単に、事前情報をまとめると
・初めはスイスの弱小貴族だったが、戦果を上げて一気に名門貴族になった
・最盛期は「太陽の沈まぬ国」とまで言われるほどの影響力を持った
※世界中の国に領土を持ちすぎて、必ず領土のどこかには太陽が昇っていたことから付けられた名前
ハプスブルグ家の最大の特徴「政略結婚」
↑あのマリーアントワネットもハプスブルグ家。政略結婚でフランスに嫁いだことで処刑へとつながった
「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」
※汝(なんじ)…お前という意味
これは、他の貴族たちが武力による戦争で領土を拡大していったのに対して
ハプスブルグ家は力のある王族と政略結婚をすることで、その勢力を伸ばしたそうです。
あの有名なマリー・アントワネットもオーストリアから嫁いで、フランスのブルボン家のルイ16世と結婚。
そしてフランス革命で処刑されることになります。
しかも近親者同士での政略結婚だった
その政略結婚は、逆に勢力を他に奪われる危険性があります。
そのため、ハプスブルグ家は近親者同士での結婚をさせたそうです。
しかし、これは後に衰退の原因になります。
近親者同士結婚を続けたことで、遺伝子の病気が発生したのです。
これにより、多くのハプスブルグ家の人は若くして亡くなり、後継者を引き継ぐことが困難になっていき、それが引き金となり衰退へと向かっていきます。
この遺伝子の病気は、顎が突き出た形の顔や、分厚い唇など、外見にもそれらは見えてくるようになったそうです。
登場人物の名前に隠された、ハプスブルク家と《こうもり》の関係
オーストリア=ハンガリー帝国の国章
画像引用:双頭の鷲
オーストリアはハプスブルク家が支配している国
前回の記事で説明したように、《こうもり》は「ウィンナ・オペレッタ」とも呼ばれるウィーンの作品。
つまり、オーストリアで初演された作品です(厳密にはオーストリア=ハンガリー帝国という名前でした)
実はこのオーストリアという国は、名門貴族のハプスブルグ家が支配している国なのです。
主要人物「ファルケ」という名前は、オーストリアと関係が?
《こうもり》の登場人物の中にファルケという役がいます。
この人物はこの作品の中でキーパーソンとなるような人物です。
このファルケという名前は、ドイツ語で「Falke=鷹(タカ)」という意味の言葉です。
実は、オーストリア=ハンガリー帝国の国章の中に「鷲(ワシ)」が入っています。
しかも頭が二つある鷲が象徴になっており、これを「双頭の鷲」と言います
つまり、ファルケという人物は、オーストリアを、そしてハプスブルグ家を象徴していると言えます。
(さすがに登場人物の名前を「鷲(ワシ)」にしてしまうと露骨なので鷹にしているとか)
《こうもり》の中に込められた、大きな兄弟愛
画像引用:マリア・テレジア
《こうもり》の2幕フィナーレ(幕の終わりあたりのこと)部分で
私たち全ての人が兄弟となり、姉妹となろう
親しい仲になろう 今日と同じようにいつまでも
明日もまた忘れずに
まずキスをして、そして”Du”と呼び合おう
オペレッタ《こうもり》第二幕より
と歌う場面があります。
この場面は《こうもり》全体で見ても、作曲家が強い思いを持って作曲したのではないか?と感じる場面です(あくまで個人の感想です)
Du(ドゥー)って何?
ドイツ語で「キミ」という意味です。
ドイツ語を勉強する人がかなり最初の段階で習う単語ですね。
親しい間柄じゃないと呼び合わない言葉
ここでポイントとなるのは、「Du」は親しい人に対して使う「親称(しんしょう)」だということ。
親しくない人には「Sie(ズィー)」という「敬称」を使います。
つまり「Duと呼び合う」というのは「それくらい親しくなろうぜ」ということです。
Duと発音するだけでキス顔になる
ちょっと過激な見出しですが(笑)
ドイツ語の「ウ」の発音は、唇を突き出して発音しなければならない、と言われています。
つまり、何度も何度もDuと歌うことで聴衆にはキスを連想させるように作られている、と考えられています。
歌詞の中にも「はじめにキスを」という部分があります。
「武力ではなく愛で」というハプスブルグ家の思想の反映か?
このことは、こうもり解説ブログ①でも紹介しましたが、
オーストリアは《こうもり》初演の8年前、プロイセン(後のドイツ)と戦争をし、しかも完敗しています。
おそらく、当時のオーストリアに限らず、どんな時代の人たちも「戦争は嫌だ」という思いはあったでしょう。
ここまで説明した2幕のフィナーレ部分は、ハプスブルグの思想と共通する部分では?と私は考えています。
「政略結婚=兄弟愛」は無理がある?
現代の感覚からすると政略結婚は「人権無視の酷くて、汚いこと」というイメージが強く、これもまた事実でしょう。
なので「政略結婚=兄弟愛」という定義は、良い面だけを切り取った言い方だと私も思います。
しかし、そのお陰で無駄な戦争を避けてこれたのも間違い無いでしょう。
政略結婚の是非は専門家に任せるとして、少なくとも《こうもり》の作品全体に「平和への祈り」という側面がある、と考えることもできるのではないでしょうか?
【結論】やっぱり2022年の今見るべき作品
前回のブログとも内容が重なりますが
まさか、武力で現状変更しようという動きが突然起き始め
原子力や、核兵器などの危機が高まり
第二次世界大戦後の常識があっという間に塗り変わるような瞬間を、今目の当たりにしています
(もちろん戦後の全てが正しく、ずっと平和だったとは思っていません。)
そんな今だからこそ、この《こうもり》の中に込められた「祈り」が多くの人に届けばいいなと思っています。
ハプスブルグ家を理解することで、より深くオペレッタ《こうもり》を楽しもう
運動初心者がジムに通う感覚で、初心者から通えるボイトレ
いかがでしたか?少しでもお役に立てれたら幸いです
当サロンでは、体験レッスンを実施しています。初心者の方からプロ歌手まで、幅広くレッスンに通っています。
よく「ボイトレはプロを目指す人が通うイメージ」と言われます。
しかし、ジムにはボディービルダーだけでなく、一般の方も多く通っているように、ボイトレも気軽に通う場所であって欲しいと願っています。
外見ほど気を遣っている人が少ないからこそ、一歩リードできる
声は、磨けば一生使えるもの。外見と同じくらい、相手からの印象に関わります。
外見に気を遣っている人は多いですが、声に気を遣っている人はまだ少ないです。
だから声を磨くだけで、一歩リードすることが出来ます。
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